映像作家 キム・スンヨン
映像作家キム・スンヨンは、約40の国と地域を旅した後、伊豆大島を拠点に、ドキュメンタリー映画制作、
PV、会社・店舗・学校などの紹介映像、人物紹介映像、イベント記録映像、ドローン撮影、結婚式&披露宴のビデオ制作など
幅広く手がけるフリーの映像作家。
チベットチベット
2007年オレゴンTAC国際映画映像祭、観客賞(最高賞)、メッセージ賞受賞
チベットチベット
2007年オレゴンTAC映画映像祭、観客賞(最高賞)、メッセージ賞受賞
◯推薦コメント
「私たちには第三の道がある。そう予感させる映画。」
作家/田口ランディ
怒りはとてもやっかいな感情です。理不尽な加害者に対して被害者は闘うことによって謝罪を求める。相手をねじふせ打ち負かそ うとする。でも、それはなぜかむなしい。在日韓国人三世として生まれた<金森太郎こと金昇龍>はそのむなしさを知っていたと 思う。勝ち負けを超えた「祈り」によって迫害を乗り越えようとするチベット民族が、この青年をどう変えたのか。ささやかだけ れど、私たちには「第三の道」がある。そう予感させる映画です。
◯作品概要
この作品に描かれているのは、一個人の目線による素顔のチベット。
僕は在日コリアン三世としてこの世に生を受けました。
大人になってバックパッカーになった僕は世界旅行の途中、モンゴル遊牧民のテントの中でダライ・ラマ14世の写真を見つけました。その時は正直、「今の時代に民族性にどれほどの価値があるのか?」と思いました。在日コリアンという自分の民族性を置き去りにして生きてきた僕には、亡命までして民族性を守ろうとするチベット人のことが理解できませんでした。しかし一方では民族性を無視して生きるのも何かが足りない気がしていました。
モンゴルを出て4ヶ月後、ついにインドにたどり着きました。導かれるように亡命チベット人の街、ダラムサラへやって来ました。そこで初めてチベット の人々の想いと現状を知りました。日本でぬくぬくと育ってきた僕は脳天を割られる様なショックを受けました。「今でも先時代的な拷問に耐えてる人がいる、チベットの民族性は消滅の危機にある。」そう感じた僕は、旅の記録用に持っていたビデオカメラでチベット人の現状を撮影し始めました。「少しでも多くの人にこの事実を伝えたい。」その思いはチベット亡命政府にも届き、ダライラマ14世に10日間同行取材させていただきました。
ダラムサラでチベット人の現状を知った僕は、今度は彼らが切望してやまない本当のチベット、中華人民共和国チベット自治区ラサへ行きました。
ラサの街には中国資本のビルが建ち並び、一見中国の地方都市と変わらないぐらい中国化していました。しかしカメラを片手に街を歩いていると、チベット人の素顔と出会うことができるのです。そんな時、ダライラマ 14 世や亡 命者の声を思い出すのでした。
この作品は、「民族性とは?国とは?」という大きな問題を、在日コリアンの僕がチベットを通して考え、やがて自分自身の問題とも向き合っていく過程を追ったドキュメンタリーロードムービーです。
映画祭歴
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2002年台湾国際ドキュメンタリー映画祭正式招待、オープニング上映
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2004年東京平和映画祭、クロージング上映
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2005年山形国際ドキュメンタリー映画祭正式招待
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2007年オレゴンTAC映画映像祭、観客賞(最高賞)受賞
作品基本情報
監督・撮影:キム・スンヨン(金昇龍)/製作:RAGOS / 2008 年再編集作品 /チベット/ Video /カラー/ 85 分/ 16:9 /言語:日本語・英語・チベット 語・中国語/プロデューサー:キム・スンヨン、田中瑠佳/編集:梶愛、比嘉 賢史/音楽:大久保智之/協力:チベット亡命政府、ルンタプロジェクト/配給: KOKIHI INC.